40年間の看護師経験と17年間の看護部長経験の中で、組織風土が悪化していく原因は、「人間関係」であると思います。退職理由に「忙しすぎるから」「残業が多いから」「夫が家にいるようにいうから」「ゆっくり患者さんとコミュニケーションができないから」と言われる人間関係が表にでることは少ないです。
しかし、根本の原因は「人間関係」と思っています。
看護現場は、貢献意欲の高い人の集まりですが、職員同士の人間関係で悩んでいる看護師を多く見てきました。そして人間関係で悩み退職していく人もいました。
私は、患者さんへ優しくできる人たちが、楽しくイキイキ働ける職場になってほしいと思っています。
みんな成長したいと思っています。
看護部長であった17年の経験を踏まえて看護現場をよりよくするにはどうしたらいいか一緒に考えていきましょう。
上司の「承認」が良好な人間関係をつくりスタッフの成長に繋がります
看護管理者の悩みは、「はい」と返事をしているのに行動が変わらない、「成長がみられない」「陰で不満ばかり言っている」などさまざまです。私も看護師長、看護部長の時も同様の悩みを抱えていました。どうしたら解決するのだろうと色々やってみて気づいたことは、「承認」ということです。「承認」とは「相手の存在すべてを認める」ことです。
人は、認められることで安心感を抱き、前向きになる、成長につながるのです。しかし私を含め多くの上司がスタッフを「承認」していると思っているので、スタッフの行動変容がないことに日々悩んでいます。
良好な人間関係となり、成長に繋がる「承認」の方法について考えてみましょう
人は「承認」をされたと感じると表情や行動が変わってきます。スタッフの行動変容がないということは、「承認」されたと感じていないことになります。承認と一言で言っても承認には種類があります。
一つ目は、褒めることです。お世辞ではなく素直に思ったこと、感じたことを言葉にしてほめることです。
二つ目は、自分自身の感謝の気持ちを伝えることです。
三つ目は、相手の存在を認めることです。
そしてもう一つ大事なことが叱ることです。
ダメ出しばかりでは、人は成長しませんが、褒めるだけでも人は成長しないのです。
叱る時は、相手の成長を願って行うことが大事です。
相手に「承認」が伝わることで人間関係が良好になり成長にも繋がります。
相手に「承認」が伝わることで、人間関係が良好になり成長にも繋がります
承認の伝え方は、「あなたメッセージ」「、私たちメッセージ」等がありますが、一番相手の心に響くのは、「私メッセージ」です。
「私メッセージ」とは、「私」が主語で始まるメッセージです。
「私」が思っていることを伝えるため、相手は、メッセージを受け取りやすいのです。
自分の感情を伝えてそれについて相手に判断をゆだねるのです。例えば「〇月〇日の患者さんへの丁寧な対応は、患者さんが笑顔になられていてとてもうれしかったです。」等伝えるとスタッフに響きます。
大事なのは、「いつも」ではなく「いつの」「誰に」「何に」が具体的であることです。
しかし「私メッセージ」で伝えているのに「伝わっていない」と感じる場面が多いのではないでしょうか?「承認」の大前提は、自分が相手を「承認」するにふさわしい人間かどうかと言うことです。
ふさわしい人間になるための第一歩は、挨拶からと思います。挨拶は、相手がするかしないかではなく、いつも明るく笑顔で自分から率先してすることが大切です。
日常の何気ない行動により相手が承認されたと感じるか、感じないかの差がでてくるのです。
上司として大事なのは「言行一致」ということです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
イキイキした職場は、そこで働いている人たち関係性が良好なのです。良好な人間関係の中で、褒めて、叱ることで人は成長するのです。
管理者としてもう一度自分の日々、スタッフから慕われる言葉を発し、行動をしているかをもう一度考えてみましょう。「承認」のテクニックをいくら学んでも、スタッフをほめたり、叱ったりするのにふさわしい人間でなければ、スタッフは、「承認」されたと思わないのです。
スタッフの行動変容がないと悩んでいる人は、まず自分の日常の言動を振り返ってみるのも一つだと思います。